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治療を受けた動物たち

● 小型犬で多い特発性多発性関節炎
わんちゃんの関節炎といえば、大型犬を想像される方が多いかと思いますが、今回は小型犬に多い特発性多発性関節炎といわれる病気についてご説明します。
病態

この病気では複数の関節に同時に関節炎が起こります(多発性関節炎)。足首や手首、膝の関節でよくみられます。原因ははっきりとはわかっていませんが、免疫システムの異常ではないかと考えられています。本来は自分の体を守るべき免疫システムが狂ってしまい、自分の体(関節を覆っている関節包と呼ばれる部分)を攻撃します。これによって関節炎が起こり、関節内に「水(関節液)がたまった」状態になります。

多発性関節炎といえば関節リウマチが有名ですが、これも今回ご説明する特発性多発性関節炎とよく似た仕組みの病気です。犬の関節リウマチは稀な病気で、骨が変形し、脱臼してしまう事が多いのに対して、特発性多発性関節炎の場合には骨には異常がでないといわれており、関節のレントゲン検査だけでは診断できません。
特発性多発性関節炎 特発性多発性関節炎
症状
多くの患者さんでは地面に足を着けるのをいやがったり、抱っこしようとすると痛がったりします。痛がる足が一定せず、昨日は前足だったのに今日は後足を痛がっている、といったこともよくあります。こういった症状は、一日のうちで、寝起きに一番ひどく、時間がたってくると普通に歩けるようになることがあります。さらに、調子に波がみられることが多く、悪いときには熱が高くて元気や食欲がなくなるといったように全身的に状態が悪くなります。痛みはあまり示さずに、むしろこちらを主訴として来院される方も多くいらっしゃいます。このように、特発性多発性関節炎の症状は非常に様々です。
診断
ほとんどの患者さんで発熱があります。症状に加えて、血液検査、レントゲン検査、関節液の検査を行います。血液検査では、白血球数が上昇していることが多いほか、ほとんど全ての患者さんでCRPといわれる体の炎症の指標となる数字が上がっています。これらによって、体に強い炎症が起こっていることが確認できます。レントゲン検査では、関節リウマチのように骨の変形がないことを確認します。
特発性多発性関節炎 関節液の検査では、関節にたまった関節液を細い針で少し抜いて検査します。普段、関節内には無色透明でねっとりとした液が少しだけ存在するのですが、関節炎をおこすと膿が混ざったように黄色く濁った、粘り気のない液がたまってきます。
特発性多発性関節炎これを顕微鏡で検査して関節炎の診断をします。
治療
始めにお話したように、自分の体を攻撃している免疫システムを抑えてあげなくてはいけません。それにはまず、副腎皮質ステロイド剤(いわゆるステロイド剤)を使用します。これによって、多くの患者さんは数日もすると(時にはその日や翌日から!)熱も下がり、とても元気な状態になります。薬の量は時間をかけて徐々に減らしていきますが、残念ながら非常に再発しやすい病気です。犬は人間にくらべるとステロイド剤の副作用はでにくいといわれていますが、長期的に使用していかなくてはならない場合には、免疫抑制剤といわれる種類の薬を使用するなどの工夫が必要となります。わんちゃんによっては、お薬をのみながらこの病気と一生つきあっていかなくてはなりませんが、うまくコントロールすることで元気に通常の生活を送る事ができます。
普段の活動性や食欲に加えて、ちょっとした歩き方の変化にも注意してあげてください。

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