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治療を受けた動物たち

● 椎間板ヘルニア

ここ数年、犬種別の人気ランキングでは必ず上位にランキングされる犬種・ミニチュアダックスフント。
胴長短足でとても愛嬌のある彼らですが、非常に発生率の高い病気があります。それは『椎間板ヘルニア』です。
椎間板ヘルニアは背骨の中を通る脊髄神経の病気です。犬の背骨が全部でいくつあるか知っていますか?答えは頸部(首)に 7 個 胸部に 13 個、腰部に 7 個です。その 1 つ 1 つは前後の背骨と関節しており、そのことで体を曲げたり、伸ばしたりすることが出来るのです。
椎間板ヘルニア
この背骨と背骨の間でクッションの働きをする軟骨の板が椎間板と呼ばれます。ダックスフント・ペキニーズ・ビーグルなどの犬種はこの椎間板が変性・突出しやすく、背骨の中を通る脊髄神経を圧迫・障害してしまい、そこから後ろの神経を麻痺させてしまうのです。
症状はその程度にもより様々ですが、首に椎間板ヘルニアが生じると激しい頸部痛や手足が麻痺してしまい、胸部や腰部に椎間板ヘルニアが生じると腰部痛や排尿麻痺・後肢麻痺など下半身麻痺を引き起こします。
《 椎間板ヘルニア 模式図 》
椎間板ヘルニア
《 ナックリング 》
裏返った足を自分で元に戻すことが出来ません
痛みはあるけれど麻痺のない子や麻痺の軽い子は長時間安静にさせることで治療できますが、何度も再発する子・既に激しい麻痺を起こしている子には積極的に手術を行うことで治療効果を挙げる事が出来ます。
それでは実際に検査、治療を見ていきましょう。
まずは身体検査です。手足の麻痺は脊髄神経の異常だけではなく脳の異常からも起こる事があるので必ず精神状態や脳神経の異常も確認しなければなりません。(細かい神経の異常についてはここで省きますので、獣医さんに相談してみてください)
脊髄神経の異常で診られる特徴的な所見として“ ナックリング ”があります。フラフラする様な歩き方が、神経の異常で見られる場合必ずこれが見られます。
また次に痛みの感覚です。麻痺が生じた場合、最後に痛みがなくなります。これが、治療方針やその後の回復に大きな問題となりますのでとても重要なことです。実際にはワンちゃんの足をつねって痛みの有無を判断します。痛みを感じる事はワンちゃんにとって少しかわいそうなことですが、痛みを感じている場合は不全麻痺と呼ばれ、痛みを感じない場合は完全麻痺と呼ばれるのです。
これまで報告されているデータでは不全麻痺の場合手術による回復率は約 75 %、完全麻痺に陥った場合 24 時間から 48 時間以内の手術で約 50 %、それ以上の時間が経過すると回復率は 10 %以下に落ちてしまいます。
身体検査により脊髄神経の異常が確認されればひき続きレントゲンや CT により診断を行います。実際に写真を参照してください。
椎間板ヘルニア 椎間板ヘルニア
《 正常脊椎の CT 写真 》
《 椎間板ヘルニアの CT 写真 》
脊髄神経が圧迫されています
最後に手術について片側椎弓切除術と呼ばれる写真を紹介しておきますので参照してください。
椎間板ヘルニア 椎間板ヘルニア
椎体(背骨)を削り、脊髄神経を露出させその下に突出した椎間板を摘出します
《 摘出された椎間板物質 》
こんなに小さなものでも脊髄に障害を与えると麻痺を起こします
この病気で一番大事なことは早めの的確な診断と治療です。歩き方などに異常が感じられたらすぐに診察を受けるよう注意してあげてください。
(文責 獣医師 王寺)

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